地球外知的生命体は神を信仰しているか?


 

2017年10月12日(木)にNHK教育で放送された番組を元に書いています。
これは、宗教を社会的科学的に捉え、考察したものであり、いずれかの宗教の立場から書いたものではありません。

地球上の人類の実に9割が何らかの宗教を信仰しています。
一神教においては「この世界は神が目的をもって創造した」とされています。
そのような目的論的説明。実は、この目的論的説明は人間に元から備わっている性質だと考えられています。子供は3,4歳になると、「なぜ?なぜ?なぜ?」と親を質問攻めにします。そのような子供が欲している解答は、科学的知見に基づいたものではなく、目的論的説明すなわち「~という目的があるからこういう現象がある」という説明なのです。
もちろん、このような目的論的説明への嗜好は大人になり科学的な見方ができるようになるにつれて弱まっていきますが、直感的判断をする際には大人でも目的論的説明を選択しがちなのです。
人間に目的論的説明が備わっているのだとしたら、地球外知的生命体に備わっていてもおかしくありません。そして、そのような生命体は「神が目的をもって~」という考え方をしてもなんら不思議ではないのです。

その可能性を探るために、地球上の動物で実験をしてみましょう。
哺乳類のなかでも比較的賢いゾウ。
ゾウに「鏡を見て自分だと認識できるか?」という実験をしたところ、鏡の中の自分を観察し出しました。これによりゾウには自己認識能力があることが分かります。
また、ゾウには「心の理論」もあります。これは他者の考えを推し量る能力で宗教の基礎とも言える能力です。

このように考えてくると、地球上の動物同様、地球外知的生命体にも宗教的思考はありそうです。しかし、地球外知的生命体の文明が我々のように進んでいたらどうでしょうか?

ある人は宗教がないと文明は存続できないと言います。文明の存続には自制心が必要で、宗教は自制心を保つのに重要な役割を果たしているということです。
これは実験によって明らかにされています。
宗教的な文を書いた被験者と普通の文を書いた被験者に、それぞれ不味いジュースをできるだけ多く飲んでもらったところ、宗教的な文を書いた被験者の方が2倍のジュースを飲むことができたのです。これは宗教が自制心を強めることを意味します。

このように考えると、宇宙人も文明を発達させるために宗教が必要だと言えます。
しかし、宇宙人の文明が我々よりもはるかに進んでいた場合、果たして宗教は残っているのでしょうか?

バラバラのメトロノーム。これを動く台の上に載せて放置すると、ある時を境にメトロノームの動きが次第に揃っていきます。この時点を転換点と呼びます。これは言語においてもそうで、例えばインカ帝国のケチュア語はある時を境にスペイン語に虐げられ、今世紀末には消滅してしまうと考えられています。
宗教においても似たようなことが起こっています。今、無宗教の人は急速に増大していて、転換点に向かっているのです。
ニュージーランドでは現在3分の1の人が無宗教ですが、2050年には90%が無宗教になると考えられています。
無宗教の人が増えている原因としては、宗教帰属による利益が減ったからだと考えられます。

宇宙人はとっくに宗教の転換点を迎えていて、完全に無宗教になっている可能性もあるのです。

生物、技術、宗教の融合という観点から見ても面白いでしょう。
テクノロジーのおかげで人々の結びつきや精神性は向上しています。
AIは自ら宗教を生み出す可能性はあり、感情や信仰をもつことになるでしょう。
テクノロジーの進歩が神の存在を強めるわけです。

さて、もし科学で宇宙の全てのことが説明できたとしたら、神の存在意義はなくなってしまうかもしれません。知識の穴が全て埋められてしまった時、神はどうなってしまうのでしょうか?
現在、宇宙の真理を解明する万物の方程式をもとめて理論物理学者が研究を進めています。万物の方程式が見つかれば、神の入り込む余地はありません。

しかし、ある見方では、「宇宙の真理を全て知ることはできない」と言えるかもしれません。
ゲーデルの不完全性定理。「矛盾の無い論理体系の中で、その論理体系が無矛盾であることを証明するのは不可能である」という定理です。
これを宇宙の真理に置き換えて考えると、「矛盾の無い万物の方程式を使って、万物の方程式が宇宙の真理を支配していることを証明するのは不可能である」とすることができる。
このように宇宙の中にいる限り、宇宙の真理には辿り着けないと考えることもできます。この場合、神の入り込む余地は存在し続けることになるのです。


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