NACA 4-digit series


飛行機の性能を決める一つの要素として、翼の断面形状すなわち「翼型(airfoil)」があります。ライト兄弟の時代から翼型は改良重ねてきましたが、その中で1930年代に登場した「NACA 4-digits series」について見ていくことにします。

用語説明

まずは、上の図を見てください。

これがNACA 4-digits seriesを使って描いた一つの翼型(NACA3415)です。これを使って用語を説明していきます。

まず、緑色の直線が「コードライン(Chord line)」です。これは翼の「前縁(Leading edge)」と「後縁(Trailing edge)」を結ぶ直線です。

このコードラインの長さはコード長または翼弦長と呼ばれ、ここでは\(c\)としています。この翼弦長\(c\)は翼の大きさを決めるパラメータです。

次に、青色の曲線が「キャンバーライン(Camber line)」です。Camberというのは元々「反り(そり)」、ここでは「翼の反り」のことを表します。

主翼では普通、翼を上側に反らせます。これを正のキャンバーと呼び、これによって、上面と下面の圧力差を作りやすくしています。(ちなみに水平尾翼には逆キャンバーを用いることもあります)

最後に厚み(Thickness)です。これは単純に各\(x\)(コードラインに沿った位置)における上面と下面の距離です。

ただし、この厚みには2種類の定義があります。 コードラインに垂直に厚みを測るか、キャンバーラインに垂直に厚みを測るかの2種類です。どちらで測っても値はそれほど変わりませんが、ここでは前者を使っています。

 

厚み(Thickness)

このNACA 4-digits seriesでは、厚み(Thickness)\(T(x)\)は以下の式で表されます。

$$T(x)=10τc\left[0.2969\sqrt{\frac{x}{c}}-0.126\frac{x}{c}\\-0.3516\left(\frac{x}{c}\right)^2+0.2843\left(\frac{x}{c}\right)^3-0.1015\left(\frac{x}{c}\right)^4\right]$$

ただし、

\(c:\)翼弦長

\(τ:\)厚み比(=最大厚み/翼弦長)

\(x:\)前縁からの(コードラインに沿った)距離

です。

キャンバーライン

キャンバーライン\(\bar{Y}(x)\)は以下の式で表されます。

$$\bar{Y}(x)=\begin{cases}\frac{εx}{p^2}\left(2p-\frac{x}{c}\right)&\text{(for    \(0<\frac{x}{c}<p\))}\\\frac{ε(c-x)}{(1-p)^2}\left(1+\frac{x}{c}-2p\right)&\text{(for    \(p<\frac{x}{c}<1\))}\end{cases}$$

ただし、

\(εc:\)最大キャンバー

\(pc:\)前縁から最大キャンバー位置までの距離

 

 

 

ちなみに、この記事で用いた翼型はNACA3415という翼型です。

この「NACA」の後ろに続く4桁の数字の内、

1桁目は、最大キャンバー位置\(p\)を10倍した数値を表しています。ここでは\(p=0.3\)、つまり、前縁から30%の位置で最大キャンバーとなるということです。

2桁目は、最大キャンバー\(ε\)を100倍した数値を表しています。ここでは\(ε=0.04\)、つまり、最大キャンバーは翼弦長の4%ということです。

3,4桁目は、厚み比\(τ\)を100倍した数値を表しています。ここでは\(τ=0.15\)、つまり、最大厚みが翼弦長の15%ということです。

 

 


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