輸送機器の移動次元と自動運転の導入可能性について

輸送機器の移動次元と自動運転の導入可能性について

21世紀。輸送手段は多様に進化しました。

その中でも、代表的な、鉄道、自動車、船、飛行機に焦点を当てて、移動の次元と自動運転の導入可能性について検討します。

 

1次元

列車はレールの上を走るもの、これはトロッコが発明された時代から変わりません。蒸気機関車でもディーゼル車でも電車でもレールの上しか走ることができません。鉄道に近いリニアモーターカーやイーロン・マスクが提唱している「ハイパーループ」も定められた線路を通ります。

この意味で、鉄道とそれに準ずる輸送機器は1次元的な輸送であると言えます。

もちろん、線路自体は平面上に張り巡らされていますし、東京の地下鉄は多くの路線が立体的に交差していますが、あくまで、1路線の中で移動できる方向(自由度)という意味では1次元的です。

 

準2次元

そういう意味では、自動車は鉄道に似ているかもしれません。多くの場合、自動車は道路を走ります。都市においては、自動車は車道しか走れません。制度的にも物理的にも。ただ、自動車が完全に1方向の自由度しかないかというとそうではありません。自動車は自らの意思で車線変更できますし、サバンナのような土地では完全に2次元の移動が可能です。こういう意味で自動車は準2次元的な輸送であると言うことにします。

 

2次元

地球の表面の約7割は海です。その海を自由に航海できるのが船です。遭難しやすかった時代は、安全のためなるべく海岸に沿って航海していたでしょうが、今やその心配はなく、大洋のどの方向にでも行くことができます。こういう意味で船は2次元的な輸送であると言えます。

 

3次元

高速輸送機器として初めて地面を離れたのが飛行機です。

地面を離れることで移動の自由度は3方向に増えました。大気圏内という制約付きではあるものの、飛行機は随時高度変更を行っています。この意味で飛行機は3次元的な輸送であると言えます。

人という障壁

さて、自動運転を導入するとしたら、どの輸送機器が最も簡単でしょうか。

パッと見、1次元の鉄道が最も簡単なように見えます。実際、現在では多くの路線で自動運転が導入されています。東京のゆりかもめや大阪のニュートラムのように乗務員無しで運行している路線もありますし、丸ノ内線をはじめとする東京メトロのいくつかの路線でも自動運転が実施されています。

大型船舶では自動運転機能を搭載しているものもあります。大洋に出てしまえば障害物は少ないので、オートパイロットに任せてしまっても十分な安全性が保たれます。

飛行機においても同様です。今やほとんどの旅客機にオートパイロットが搭載されていて、巡航中は決められた航路を飛行するようオートパイロットに任せる場合がほとんどです。パイロットの技量維持のため、離着陸時は手動で行うことが多いですが、離着陸もオートパイロットで行うことができます。

1次元、2次元、3次元でこれだけ自動運転が実装されているのだから、準2次元でも実装可能だろうと思われるかもしれませんが、実は一番難しいのが自動車なのです。

その原因となっているのが「人」。

鉄道、船、飛行機においては、進路に生身の人間が現れることはありません。万一現れたとしても、それは100%人が悪いので、別に避ける義務はありません(回避できるに越したことはありませんが)。一方で、自動車においては、進路に人が現れることなんて日常茶飯事です。交差点の横断歩道では、人が現れないことの方が少ないですし、横断歩道の無い所を平気で横断する人も偶にいます。自動車の進路に人が現れたとしても、100%人間が悪いとは限らず、自動車は何とかして回避行動を取らなければなりません。

ここが、難点です。急な回避行動を取ったが故に乗車している人が怪我をする可能性もあります。「回避行動」と「中の人の安全」が対立する場合も考えられ、その場合どちらを優先するのかという判断に迫られる訳です。

鉄道や船や飛行機のように、ただ決められたルート通りに運転していれば問題ないという訳にはいかないのが自動車なのです。

 

まとめ

鉄道は1次元的、自動車は準2次元的、船は2次元的、飛行機は3次元的な輸送手段です。

今や、3次元的な輸送手段である飛行機にも自動運転が導入されている一方で、自動車だけは「人」という不確定要素のため導入にはまだまだ課題が残っているという状況です。