こんにちは。
今回は、東大航空宇宙における院試勉強の体験談について書こうと思います。
内部生の視点で書くことにはなりますが、これから東大院工学系研究科航空宇宙専攻の院試勉強を始める人の一助となれば幸いです。
※平成31年度入試の情報ですので、来年度の正式な情報は工学系研究科のHPをご覧ください。
院試日程
※平成31年度の入試についてです。
入試説明会
平成30年5月24日(木)
入試説明会には必ずしも出席する必要はありませんが、特に予定が無ければ出ておいた方が良いと思います。
その場で入試資料などが配られました。なお、入試資料を入手できなかった人は航空事務室に行けば貰えます。
(私は説明会に出席できなかったので事務室で貰いました)
願書提出期間
平成30年7月3日(火)~12日(木)
郵送で願書等を送ります。
最近になってWebの入力フォームから願書を作成できるようになったようです。(というかその方法しかありませんでした)
願書には「大学院に入ってから研究したい内容」を書く欄があったので、卒論の進捗が皆無の私は何を書こうか悩みました。
受験料は30000円でした。
試験期間
平成30年8月27日(月)~29日(水)
1日目の午前がTOEFL ITP(9:00~11:30)、午後が数学(13:00~15:30)、
2日目の午前が専門科目(9:00~12:00)、午後が専門科目(13:30~16:30)です。
3日目は口述試験で、受験番号によって午前または午後にあります。(自分の口述試験が午前か午後かは数日前に工学部7号館に掲示されます)
合格発表
平成30年9月6日(木)16:00
工学部8号館のピロティにある掲示板に掲示されます。
午後4時頃には現地は非常に混みあっていました。
私は4時半頃見に行って自分の番号があってホッとしたのを覚えています。
内部生の院試勉強の流れ
院試勉強を始める時期は人によって大きく異なります。
ただ、多くの人は半年前の冬休みの間に過去問に目を通すくらいのことはしていたのではないでしょうか?
(私は数学はチラッと見ましたが専門科目は見ていません。TOFLE ITPについては全く何も考えていませんでした。)
航空宇宙工学科の4年Sセメスターは授業を履修する必要のない人がほとんどで、授業に出席するとしても週に数コマの人が多いと思います。
卒論のテーマを決めたり卒論の進捗を生んだりしながら、皆ぼちぼち院試勉強を始めていきます。
私は週2コマに加え「航空技術イノベーション概論」という授業を履修していました。
また私の研究室は「院試が終わるまでは卒論の進捗は生まなくて良い」というスタンスだったので、卒論はテーマをざっくり決めただけで他には何もしていません。
教授から渡された空気力学の本と設計の本を読み進めていき、週1回の輪講で「どこまで読んだか」を報告するということを繰り返していました。
なので院試勉強を始めようと思えばいつでも始められた感はあります。
実際、他の学科民は5, 6月あたりから始めている人が多い印象です。
しかし、結局私が院試勉強に手を付け始めたのは6月末か7月初めあたりでした。
私の所属している研究室と別の研究室のメンバーで院試勉強会を開こうということになり、それにつられて始めたといった具合です。
(多くの研究室で自主的に勉強会が開かれていたようです)
私達の勉強会は「毎回特定の年度の問題を1人1人に割り当てて、次回までに解いてきてもらって皆に説明する」という形でした。
ですので、最悪自分が当たった問題だけ解けばよく、まだこの期間も楽しようと思えば楽できました。
私は7月末に部活の七大戦、8月初めに「航空技術イノベーション概論」の最終発表などがあり、本当に本気で院試勉強を始めたのは8月5日くらいからでした。
院試22日前というのは冷静に遅すぎだと思います。
ただ上には上がいて、8月中旬から始めたガチプロもいました。
まぁその人は本当に天才で院試勉強しなくても受かりそうでしたけどね。
私のような凡人はもっと前から始めるべきです。はい。
最初のうちは、資料や教科書が手元にあったほうが安心ということで自室(寮)で勉強していました。
しかし、あまりにも勉強時間が確保しにくいということで、途中から大学での勉強に切り替えました。
航空宇宙工学科および航空宇宙工学専攻の本拠地である工学部7号館では、夏休みの間、70号教室を開放してくれていたのでそこで勉強しました。
(毎年開放している保証はありません)
大学で勉強する中でも、特にこの教室で勉強するメリットは、分からないことがあればすぐに友達に聞けるという点です。
(内部生の勉強場所としては、他に7号館図書室(内部生は学生証でいつでも入れる)、ライブラリプラザ(平日は8:30~22:30、休日は9:00~19:00)、自分の所属する研究室などがあります)
滞在時間が長い時は、朝8時に来て夜11時半に帰るといった具合でした。
この時期の勉強時間は学科民の中でも比較的長いほうだと思いますが、それでも1日14時間以上勉強する人は何人もいました。
そんな1日14時間の勉強を続けているとさすがに疲れが出てきました。
また、夏休み中旬までは部活はオフ期間で練習は任意だったのですが、院試1週間前からは部活が再開したので、その影響もあり勉強時間は少なくなりました。
1週間前には過去問1周は終了していたので、それ以降は「良問だな~、復習しておきたいな~」と思う問題を解いて復習していきました。
院試前日は試合があり炎天下の中で1500m1本と4時間程の応援をしました。
試合を休むという選択肢が無かった訳ではないのですが、「まぁいっか!」と思って行きました。体調を崩さなくて良かったです。
院試前日は大人しくしておくことをおすすめします。
勉強方法
数学
学科民は20年分超の過去問と解答があるので、それを解いていく感じでしょうか。
大問6つ(微分方程式・線形代数・複素関数・空間図形・フーリエラプラス・確率etc)から3つ選択するので、勉強する分野を絞るという戦略もありです。
私は、微分方程式・線形代数・複素関数・フーリエラプラスに関しては20年分解きましたが、残りは数年分しか解いていません。
この2つをいい加減にしたのは、空間図形と確率は解ける問題なら初見で解けるからです。(実際、本番では空間図形を解きました)
普通に大学受験と入学後の勉強をしていればある程度の基礎は固まっているはずですが、どうしても分からない分野があるのであれば、「重点的に基礎から勉強をする」or「捨てる」べきです。
そういう分野がなければ、過去問を解きつつ、教科書や問題集で補っていくというのがコスパが良いと思います。
(私は「院試勉強のために数学の教科書・問題集を買う」ということはしなかったので、何がおすすめかは分かりません。他の方のブログを参照してください。)
傾向:
第1問は微分方程式に積分計算の問題がついてきます。
第3問は留数定理を使った複素関数論の問題か複素写像の問題です。
第5問は3年周期でフーリエ・フーリエ・ラプラスという出題になっています。
(平成29年度はラプラス、平成30年度はフーリエ、平成31年度はフーリエでした)
採点:
(先輩が、解いた感触と得点開示結果を比較した上での噂です)
数学は、部分点もあるとは思いますが、答えがあっていることが割と重要視されるようです。
特に大問の初めのほうの問題は配点が高く、ここで計算ミスにより間違ってしまうと大きく点を落とすことになります。
専門科目
数学同様、学科民は膨大な過去問解答データベースがあるので、それを活用しましょう。
しかし、数学と異なり、大問4つから3つ選択という形式なので、特定の分野を捨てるということは基本できません。
全ての分野をしっかり勉強する必要があります。
(私は「院試勉強のために数学の教科書・問題集を買う」ということはしなかったので、何がおすすめかは分かりません。他の方のブログを参照してください。)
傾向:
流体力学は圧縮性流体が1題、非圧縮性流体が1題出ます。
航空宇宙システム学は、自動制御・宇宙機制御・軌道力学・航空機力学等多種多様です。
推進工学は、力学(主に振動)が1題、それ以外が1題出ます。
平成17年以前は傾向が少し違うようです。
共通の物理が課されなくなった平成27年度以降は難化しているので、平成26年以前の過去問を解いて余裕をかましていると痛い目を見ます(自省)。
採点:
(先輩が、解いた感触と得点開示結果を比較した上での噂です)
専門科目は数学に比べると、採点は甘いようです。
大問中の配点がどのようになっているのかは分かりませんが、どんどん部分点で点数を拾ってくれるらしいです。
ですので、分からなくてどうしようもない場合や計算する時間がない場合は、解答の方針を記すと点になる可能性が高いです。
英語
TOEFL ITPの勉強法は人によって大きく異なると思います。(工学系研究科の中で、航空宇宙工学専攻のみがTOEFL ibtでの受験が不可能となっています。なぜでしょうか?)
そもそも英語が強い人は、全く勉強しなくても高得点が狙えると思います。
英語が弱い人は、勉強した方が良いのは確かですが、勉強した結果がすぐに表れるようなものでもないと思うので、数学や専門科目に比べるとコスパはあまりよくありません。
このような理由で、数学と専門科目より英語の勉強時間のほうが短いという人がほとんどだと思います。
私は、英語を勉強している時間がなかったので、市販のTOEFL ITP模試の本を買って、4回分解きました。「勉強」という形はとらずに、TOEFL ITPの形式に慣れて、模試の復習だけするという形にしました。時間の無い人にはおすすめです。(ちなみに私の英語の実力ですが、大学入試ではG2クラスに滑り込む程度の出来で、学科民の中では中の中だと思っています。)
傾向:
他の方のブログか私の続きの記事を参照してください。
あと、最近、問題冊子への書き込みが可になったんですかね?今回注意事項に書き込み禁止とは書かれていなかったと思います。
採点:
スコアとしては模試を解けばある程度予想できます。
噂によると、全員のスコアの分布によって上手いこと150~300点くらいになるように調整するらしいです。
かと言って150点が下限という訳でもなくもっと低くなることもあるらしいです。
口述試験
勉強はしていません。前日に先行研究に目を通しておこうと思っていましたが、結局目を通しませんでした。
傾向:
内部生・外部生ともに卒論の内容は聞かれると思います。
外部生は大学院で研究したいこと等を詳しく聞かれる可能性もあります。
内部生は卒論の話の後、雑談になる可能性もあります。
外部生はほぼ全員スーツ、内部生の服装は年によります。
平成31年度は午前組は内部生でも大半がスーツ、午後組は私服がメジャーでした。
私服と言えども、男子はジーパンでない長ズボン+襟付きシャツが基本だと思います。
採点:
合否にどの程度影響を与えるのかは分かりません。
まとめ
そんなこんなで当日を迎えました。
当日の流れは別記事「東京大学大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 の院試当日体験談」に書きました。合わせてご覧ください。
こんにちは,今年で東大航空宇宙受けようと思いまして,よろしければ過去問と解答いただいてもよろしいですか?
大変心苦しいのですが, 内部で引き継いでいる資料は外部に出さないよう釘を刺されているため, お渡しすることはできません.
過去問については, 専門科目は3年分, 数学は10年分程度入手できるようです.
http://www.aerospace.t.u-tokyo.ac.jp/topics/20170428.html
また,
https://marinsblog.com/
や
http://spacedavid.com/
には, 外部から院試に合格した方の体験記が載っているので参考にしてください.
わかりました!ありがとうございます!