ドキュメンタリー番組で取り上げられることもある「古代宇宙飛行士説」。
一時期この古代宇宙飛行士説に興味を持っていたので、この説を有名たらしめた「未来の記憶」をメルカリで購入した(絶版となっていたため)。
1970年頃に登場した「古代宇宙飛行士説」とは、古代に地球外部から何者かが飛来し我々人類に影響を与えた、とする説で、この説によって人類文明における不可解な謎(やオーパーツ)の多くが説明可能であるとしている。
この説によると、古代文明の遺跡で描写されている神々や、様々な地域の神話の神々は、飛来した「宇宙飛行士」とされる。さらには、一神教における神すら、「宇宙飛行士」が元になっているとしている。そのため、この説は宗教側の人間からの反発は免れ得ない。
また、あくまで「説を仮定すると様々な謎が説明可能である」というスタイルを取っており、説を証明する確固たる証拠は存在しない。証明することが不可能であるため、この分野は学問として成立せず、科学側の人間からの反発も免れ得ない。
現在我々が持っている情報では決して証明できず、かつ宗教的論争を引き起こしかねない説ではあるが、そういったしがらみを無視して真実かどうかを脇に置いてこの説を眺めてみると非常に面白い。
「なぜ、各地域の古代神話には共通する記述が多いのか?」という疑問に、「偶然である」という結論を出すこともできるが、この説は「宇宙飛行士が飛来したのだから必然である」という答えを出している。
もちろん、1968年出版当時の「謎」を元にこの説は提唱されているため、現在では解決済みの「謎」もいくつかある。例えば、人工衛星説が囁かれていた(今からすると提唱者の宇宙物理学の素養を疑うが)火星のフォボスやデイモスは、自然の衛星であることが分かっているし、核爆発説があった1908年のツングースカ大爆発は、隕石の空中爆発であると結論付けられている。
しかし、人類文明には未解決の不可解な謎が数多く残されており、確かにこの説はその謎の多くを一応表面上は説明できるのである。
この説が真実である可能性は極めて低い上、科学に携わる者として決して支持する訳にはいかないのだが、面白いか面白くないかで言うと間違いなく面白い。