割と話題になっていた本だったので、大学の書籍部で購入。
人類史を全く新しい切り口で捉えた本。
上巻では、人類の誕生から文明が発達していく過程を、下巻では、近代文明の特徴をメインに考察されている。
この本のメインの主張の一つは、「人類文明の発達は虚構の構築によるものである」ということだ。
狩猟採集を行っていた時代から、農耕革命が起こり、何千何万の人々を統率するためには、神話・法典・国etc…といった「虚構」が必要だった。
神話・法典・国といったものは何の実態も持たない。実際に目に見える「物」でもないし、自然界に元々存在するものでもない。人間の想像上の産物である。しかし、数えきれないほどの人数の赤の他人同士を結束させるためには、こういった共通の「虚構」を刷り込むことが最も効果的だった。
このようにして、「虚構」を有効に活用していったコミュニティがより強いコミュニティとして生き残り、現在この人間社会は虚構だらけになっているという訳だ。
貨幣経済も虚構、資本主義も共産主義も虚構、帝国主義も民主主義も独裁政治も虚構、人間には位があるというのも虚構だし、人間は皆平等だというのも虚構である。
しかし、その虚構がなければ、人類文明の発達は農業革命で止まり、古代文明すら登場しなかったはずだ。
ここで、色々述べてもしっくりとこないと思うので、気になった方はぜひ「サピエンス全史」を読んでもらいたい。教養書として大いに役立つに違いない。