2019/02/13のWeekly Ochiai『お金をアップデートせよ』 落合陽一さんがパネルに書いた『アフリカ』についての考察


落合さんの発言

2019年2月13日(水)のWeekly Ochiaiは『お金』についてでした.

  • 日本では, お金についての教育が義務教育になっていないから, お金について分かっていない.
  • キャッシュレスで社会はより円滑になる.
  • 借金は悪と考えるのはやめて, バランスシートで考えるべき.

などの議論が為されました.

最後に, 「お金で幸福になるために明日からすべきファーストアクション」を書くということで, 落合さんは, パネルに『アフリカ』と書きました.

以下, 引用です.

落合「アフリカがなぜ開発されないのか?とか, アフリカの子供たちがなぜ貧困に喘いでいるのか?っていうことを考えると, お金のことがよく分かると思います. あそこになぜお金が回っていかないのか?とか, じゃあなんでそこで社会が安寧に保たれないのか?みたいなところが, 資本主義の外に行っちゃってる場所ってやっぱりあるんですよね. で, それはお金が汚いって言う前に, そういうような社会インフラをちゃんと敷くことの方が幸福に繋がることや安定に繋がることももちろんあるし. そうした時に, なんかアフリカのこと考えると, 僕結構よくて, 例えばSDGsもそうだし, 世界から貧困をどうやって無くすか?とか, 例えばどうやって経済成長と人々の幸福を考えるか?といった時に, 未だ貧困で亡くなる子供たちがいるところにどうやって経済の仕組みやらインフラやら社会制度やらっていうのをちゃんと樹立していくのか?っていった時に, やっぱお金って必要だよねってなるかもしれない. で, そうなった時にあそこってスマホから入ってるから, 社会システムが工業的なインフラじゃなくて, 電子ネットワークから入ってる訳ですよ. それってキャッシュレスになるのはそりゃそうだし, だって, 偽造不能なキャッシュを作るよりポイント化した方が安いじゃないですか. で, そういったこと考えた時に, なんか僕はよくアフリカについて考えています. 解決したい問題の一つですね, 21世紀内に.」

考察

FACTFULNESS

私は, この『アフリカ』というパネルを見た時に, 先日読んだ『FACTFULNESS』を想起しました. 『FACTFULNESS』の中では, 世界中の国々, または, 人々を所得に応じて4つのレベルに分けています. 1日1人あたりの所得が~2$をレベル1(10億人), 2$~8$をレベル2(30億人), 8$~32$をレベル3(20億人), 32$~をレベル4(10億人)としています. 

そして, 19世紀, 20世紀, 21世紀にかけて世界の国や人々は, 徐々にではありますが着実にレベルアップしてきました. レベル1からレベル2へ, レベル2からレベル3へ, レベル3からレベル4へと. 今の先進諸国も19世紀の頃は全ての国がレベル1か2で, 21世紀におけるアフリカ諸国と同等でした. 

このレベルアップの難易度については, 「レベル1からレベル2へ」というのが一番難しいです. というのも, 余剰のお金が存在せず投資を行うことができないからです. つまり, お金を消費活動にしか回せていないのです. 投資が行えない限り, 人々の資本は増えません. つまり経済成長は起こりえないのです. レベル3の国では, 生活に必要なお金よりも所得が多いので, そのお金を投資に回すことができ, 資本の拡大のために投資することができるため, ほぼ確実に成長することができ, いずれはレベル4に間違いなく到達します. 2017年の中国やブラジルやインドネシアやタイや南アフリカなどがそうです(国民平均で所得を出していることに注意してください. 中国で先進都市は間違いなくレベル4です).

重要なのは, レベル1の国々は19世紀の我々と同様にレベルアップするための十分なポテンシャルを持っているということです. アフリカは先進国に追いつけない, 貧しいままだ, そういう定めだ, などという認識は誤りです.

 

コメントについて

では, 落合さんのコメントに戻ります.

 

アフリカがなぜ開発されないのか?

レベル1にあるアフリカ諸国は, 自国内でできる開発というものには限界があります. 余剰のお金が少なすぎるからです. そのため, 余剰金を持っている人や国から投資してもらうのがいいのですが, 投資するための環境が確立していないから, なかなか開発が進まないのだと思います. た, 仮に投資する環境が整っていたとしても, レベル4の人々はレベル1のアフリカ諸国の未来に対して悲観的な見方しかできないので, 投資を行わないでしょう. その一方で, レベル3にまで到達したエジプトや南アフリカに対しては, 投資する環境も整っていて, 開発も進んでいます.

アフリカの子供たちがなぜ貧困に喘いでいるのか?

①所得が少ない, ②子供の死亡率が高く多産故の食糧の不足

が主な原因だと思います. 所得を増やして, 社会インフラを整えて, 衛生状態を改善して, 子供の死亡率を下げて, 女性一人当たりの子供の人数を少なくすることができてしまえば全てが解決するのですが, 貧困状態にいる限りどれ一つ叶いません. 外部から貧困を抜け出すための力を与えないとどうしようもないと思います. そのためにはやはり社会インフラの整備(というより日常用品の充足)・衛生状態の改善・教育などで自立支援するしかないのです. 

アフリカになぜお金が回っていかないのか?

上述しましたが, 投資する環境が整っていないのもそうですが, 気軽に投資できる状態にあったとしても, レベル4の国がレベル1のアフリカ諸国に対して誤った悲観的な味方をしているため, お金は回っていかないと思います. 

なんでアフリカで社会が安寧に保たれないのか?

FACTFULNESSでは, 紛争について深入りはしていませんでしたが, 人々が貧困から抜け出し, 通学率も向上し, 教育を受ける年数も伸び, 社会秩序の整った都市や国になる必要があると思います.

世界から貧困をどうやって無くすか?

貧困は自力で抜け出すことは不可能に近いです. しかし, 抜け出してしまえば, 余剰金が生まれれば, その後はどんどんより良い暮らしへと自力で進んでいくことができます. 貧困に喘いでいる人々を救う(レベル1にいる人々をレベル2に引き上げる)ということは, その人々に自力で成長する力を与えるということに他ならないと思います. 貧困の原因になっている何か一つを改善すれば, それが影響で貧困から抜け出せる可能性が高くなります. 社会インフラの整備(というより日常用品の充足)・衛生状態の改善・教育などが外部の人達ができる自立への手助けだと思います.

どうやって経済成長と人々の幸福を考えるか?

経済成長も人々の幸福もレベル2にならないことには始まりません. 我々レベル4の人々や国が, 世界中の経済成長と人々の幸福のためにできることは, レベル1の人々をレベル2にするための自立支援をすることです. レベル2になってしまえば, それなりに自力で成長していく力が出てくるので, この自立支援を投資と捉えることができるかどうかが鍵だと思います.

未だ貧困で亡くなる子供たちがいるところにどうやって経済の仕組みやらインフラやら社会制度やらっていうのをちゃんと樹立していくのか?

これは, 考え続けなければいけない問題だと思います. 南アフリカやエジプトのようなレベル3の国であれば, 経済の仕組みや社会制度はかなり確立していて, 外部からの投資もしやすいので, 問題ないのですが, レベル1の国では, どのように人々にアプローチして, 社会インフラの整備(というより日常用品の充足)・衛生状態の改善・教育といった自立支援を行っていくのかを考えなければなりません. もちろん現地で草の根的な医療活動をしている人々もいますし, 寄付・募金によって様々な物品が貧困状態の人々に供給されているのも確かです. こういう活動によってわずかに生活は向上するかもしれませんが, 貧困から脱するためにはまだまだ時間がかかります. 今行われている活動に加えて, もっと多額の資金でもってもっと効率よく自立支援をする方法を模索していくことは重要だと思います.

まとめ

南スーダン(レベル1)が今のナイジェリア(レベル2)のようになり, ナイジェリアが今の南アフリカ(レベル3)のようになり, 南アフリカが今のG7(レベル4)のようになる日が1日でも早く来ることを願うだけでなく, そのために「レベル4の人々がお金を動かすこと」が何より大切だということをここに強調しておきます. その日は必ず来ます. 我々のお金の使い方次第です. まずは, アフリカについて考えてみたり, お金・投資について学ぶところから始めていくのがいいと思います.


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)