学校での成績を決定づける”時期” ~働きアリの法則と鶏口牛後の話~


みなさんは、学校での成績を決定づける”時期”というものを意識したことはあるでしょうか?

それは、中学校でも、高校でも、大学でも、多くの場合「入学後数ヵ月」であると私は考えています。

今回は、成績を決めるメカニズムに焦点を当てたいと思います。

大学成績についての調査

まずは以下の引用記事をご覧ください。

『大学成績:1年で決まる? 卒業時と一致 東京理科大調査』 – 毎日新聞(2016年6月3日 08時00分(最終更新 6月3日 11時10分))

大学卒業時の成績は1年終了時の成績とほぼ一致し、入学試験の結果とは相関関係がみられないことが、東京理科大学東京都新宿区)が同大の学生を対象に実施した調査で明らかになった。担当した山本誠副学長は「特に1年の6月第1週の出欠状況が、その後の学生生活を左右する」と話している。

東京理科大は6学部33学科(夜間部を除く)。大学入試センター試験を利用したり、センター試験と大学の独自試験を組み合わせたりして形式が異なる8種類の入試をしている。入試の種類と入学後の成績の関係を検証しようと2009年から、学生の成績の追跡を度々実施しており、1回あたり約3900人の学生のデータを集約して分析した。

入試、1年終了時、卒業時の成績を比較したところ、年度、学科を問わず、入試の形態や点数と卒業時の成績には全く相関関係がみられなかった。

 一方、1年終了時の成績と比較すると、卒業成績との関連性が認められ、1年終了時に成績上位の学生のほぼ100%が良い成績で卒業していた。

 山本副学長は「上位で入学したのにギリギリで卒業する学生もいれば、補欠合格でも卒業時にはトップクラスにいる学生もいた。理系のような積み上げ型の学問は1年時に興味が持てないと、そのまま留年したり退学したりしてしまう危険性が高い」と分析する。

 山本副学長が「最初の鬼門」と指摘するのが、6月の第1週だ。例年1年生の1割ほどがこの時期に授業に出てこなくなり、成績不振や留年につながるケースが目立つという。

 このため東京理科大は今年度から、担任の教員が6月第1週の出席状況を確認し、休んでいる学生に理由を聞いたり出席を促したりするなどの対応を始めている。【上杉恵子】

 

簡単に言うと、入試と大学1年の成績に相関はなく、大学1年と大学4年の成績には相関があるということです。

もちろん、これを読んでいる方で、そうは思わないと思われる方もいると思います。ただ、そういう方は、おそらく成績を知っている周りの人(サンプル)が特殊だった可能性が高いです。

学年全体を見れば、多くの大学でこのような傾向にあると思われます。

 

また、私が高校1年生の時に数学の先生から、「高校入試と高1最初の試験との相関係数は0.2程度、高1最初の試験と高3最後の試験との相関係数は0.8程度」という話を聞きました。あくまでその先生が調べたことなので、ソースを提示できないのですが、高校においても前述した記事と同じことが言えそうです。

余談ですが、私がこの説を自信を持って推しているのは私自身が毎回その体験をしているからです。高校でも大学でも入試では大した成績ではなかったにも関わらず在学中は好成績を維持したという経験があるので、入学後数ヵ月の大切さを身をもって感じているという訳です。

 

働きアリの法則

働きアリの法則をご存じでしょうか?

何種類かの法則がありますが、今回は以下の法則について考えます。

  • よく働くアリと、普通に働く(時々サボる)アリと、ずっとサボるアリの割合は、2:6:2になる。
  • よく働くアリ2割を間引くと、残りの8割の中の2割がよく働くアリになり、全体としては再び2:6:2の分担になる。
  • よく働くアリだけを集めても、一部がサボりはじめ、やはり2:6:2に分かれる。
  • サボるアリだけを集めると、一部が働きだし、やはり2:6:2に分かれる。

 

これは人間のコミュニティにもある程度当てはめることができます。会社、学校、サークル等々。「ちょっとしたきっかけで自分が率先して動くようになるとその後もずっと率先して動き続ける。ちょっとしたきっかけで怠けるようになるとその後もずっと怠ける。」という経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか?

人間のコミュニティにおいても、そのコミュニティ内で、2:6:2に分かれてしまうということです。

 

私は、これこそが、学校内の成績が入学後早い段階で決まるメカニズムだと考えています。

実際に、上位の人が上位に留まり続け、下位の人が下位に留まり続けるのは以下のような理由によると思います。

高校では、最初の定期試験に向けてしっかり勉強して良い成績を取った人は、「これだけの勉強量でやっとこの成績が取れる」というのが体に染み付いていること、そして、「その成績を死守しよう」と思えることから次回以降も良い成績を取り続ける可能性が高いです。

一方、最初の定期試験に向けて手を抜いた勉強しかせず悪い成績を取った人は、「どれくらい勉強すれば良い成績が取れるのか」が分からないこと、そして、「できれば良い成績を取ろう」程度の気持ちになってしまうことから次回以降も悪い成績を取り続ける可能性が高いのです。

 

鶏口となるも牛後となるなかれ

少し横道にそれますがお付き合いください。

「鶏口となるも牛後となるなかれ」という故事はご存じかと思います。

小さな団体の長になった方が、大きな団体に従って使われる者になるよりも良いという意味です。

私は、この故事は学校にもある程度適用できると思います。

というのも、高校や大学においては、大抵の場合、鶏口は牛後に勝るからです。

ここでいう成績は在学時の成績ですが、東大の最下位層は、MARCHの最上位層に当然のように負けます。そして県内トップ高の最下位層は県内4、5番手高の最上位層に負ける訳です。

 

では、鶏口となるために敢えて”口”になれるような高校や大学を受験した方がいいのかと言うとそのような志望校選びをする必要はないと思います。受験では、できるだけ偏差値の高い高校や大学を受験して合格すれば良いのです。そして、前述したように入学後の成績は入試とは関係ないのですから、入学後に”口”になれるように頑張れば良いのです。

 

つまり、私が言いたいのは、

「まずは、鶏に入る。入鶏したあと、すぐに頑張れば鶏口になれる。鶏口なら、牛に入ることができる。入牛したあと、すぐに頑張れば牛口になれる。」

ということです。

 

 

まとめ

成績を決定付ける時期とそのメカニズムについて書いてきました。

入学後の数ヵ月というのは、最も楽に”働きアリ”ないし”口”になれる時期であり、ここで手を抜いてしまうのはチャンスを放棄しているようなものです。

 


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