東京大学の工学部・工学系研究科には、ユニークな授業も多く、「創造的ものづくりプロジェクト」という授業群の中に「国際航空ビジネス入門」という授業があります。
今学期は、欧州の旅客機メーカーAIRBUS社と提携して、PBL(Problem Based Learning)形式で授業が実施されました。
この授業自体は、工学部・工学系研究科の学生であれば誰でも単位として取得することができ、他学部・他の研究科の学生でも申請等行えばおそらく単位取得できますし、履修せずとも聴講や課題への取り組みも行えるかなり自由な授業です。
授業の一環として、10月頃から月1回ペースで航空業界に詳しい方をお招きまたは訪問して、講義を行っていただきました。エアバス ジャパンの方、エアバス本社(フランス・トゥールーズ)の航空機自動化の専門家(ビデオ通話での講義)、森ビルながら航空機に詳しい方などです。
そして、最終課題として「航空路線新規事業計画」を行いました。これは、授業参加者が4チームに分かれて、それぞれ特徴を持った会社のメンバーとして、新規事業計画を立てるというものです。今回は、レガシーキャリア・新規非LCC・既存LCC・新規LCCの4社でした。
ただ、本当に一から計画を立てると、1ヵ月やそこらでは終わらないので、かなり簡略化していて、実際に課題として行うのは「クラス分けと乗客数の決定」「機体の導入方法」「航空券の値段の決定」「損益計算書(P/L)、キャッシュフロー(C/F)の作成」くらいです。後は、設定として決まっていたり、配布されたエクセルシートを使えば簡単に計算できたりするようになっています。つまり、最適な経営選択を行う場合、結果は一通りに定まるということです。
私は、新規LCCの会社のCEOという設定でもう一人のメンバーとともに課題に取り組みました。(一応、それぞれの会社に名前が付いていたのですが、現実に存在する会社名をもじったものなのでここでは控えます)
結論から言いますと、私たちの会社は運航開始1年目にして倒産します。これは、最適な導入方法(この場合Pure Operating Lease)を行い、最適な座席数(All Economy)、最適な航空券価格を選択した上での結果です。
原因としては、開始時保有資金の不足とブランド力の不足にありました。(新規LCC事業をご検討の方は、保有資金とブランド力を考慮の上で事業シミュレーションして健全な事業計画を立ててくださいね!)
何はともあれ、倒産することが分かっていても発表するしかないので、「どういう設定条件だと倒産しないで済んだのか」や「保有資金の少ない新規航空会社が生き残った事例」などを盛り込んで発表を行いました。
全てのチームの発表が終わり、エアバス ジャパン 顧問の方に「保有資金の少ない新規航空会社が生き残った事例」を調べたことを評価されて最優秀賞に選んでいただきました。まぁ、事例を調べたのはもう一人のメンバーのM2の方なので、私は何もしてないんですけどね(笑)
最優秀賞の景品として、写真にもある通り、A350XWBの模型をいただきました。その他にも参加賞として、AIRBUSロゴ入りの、クリアファイル、カラビナ、フライトタグキーホルダー、Universal Travel Adapter(海外コンセント用変換プラグ)もいただきました。
このように、「国際航空ビジネス入門」の授業は、航空業界の興味深い講義を聞けたり、航空ビジネスの仕組みを身をもって体験することができたりと、非常に充実したものとなっています。
航空の知識がないといけない、理系じゃないとやっていけないということは全然なく、かなりアットホームな雰囲気でド素人でも全く問題なく参加できるような授業なので、東大の学生にはぜひおすすめしたいです。
ちなみに、この授業の最後のイベントとして後日ANAの整備場見学も予定されているので楽しんできます。